地質採集のすゝめ-2022部誌

この記事は2022年海城祭・ミニオープンキャンパスで配布した部誌に掲載したものを一部修正したものとなっています。部誌PDFはこちら

はじめに

文化祭などで、この化石はどこで取ったのですか?この鉱物はどうやって取ったのですか?などという質問をよくいただくので、この機会に簡単にまとめてみることにしました。地学部の活動にも触れることなので、1 度読んでいただくと嬉しく思います。
今回は鉱物巡検と化石巡検の二通りを簡単に説明していきます。

準備

用意するもの

ハンマー・タガネ・入れ物{タッパーor袋(ジップロック等)}・新聞紙or綿(脱脂綿)・飲み物(大量)

<補足>

新聞紙や脱脂綿などは鉱物や化石を包むためのもの。
鉱物をそのまま袋やケースに入れると表面があちこちに当たって、砕けたり欠けたりして、綺麗な面が見られなくなる可能性があります。また、鉱物がそのままの状態で入っていると周りの人に当たったりした時に危ないためでもあります。
化石を持ち帰るときは必ず新聞紙や脱脂綿で包みましょう。できれば脱脂綿の方がいいです。なぜなら、化石はとても脆いもののため、そのままの状態で硬いタッパーなどに入れてしまうと持ち運ぶ途中で割れてしまったり砕けてしまう可能性があるからです。

ハンマー例
タガネ例

服装

山に入るときは極力長袖長ズボンにすることがいいです。温度調整のしやすく、脱ぎ着しやすい服装がいいと思います。採集中は荷物の管理が疎かになりがちなので、大きめのリュックなどで行き、荷物は1つにまとめておくのがおすすめです。
川の近くに行く時は長靴を持って行くことをお勧め。鉱物はいつでも地表にあるわけではなく、地中や水中にあることの方が多いです。水中に入るときは運動靴でもいいですが、長靴の方が何倍も安全です。
長靴は鉱物より化石採集の場の方がよく使います。なぜなら化石は水のあるところで見つかりやすいからです。化石とは大昔動物の死骸の骨などだけが残ったものであり、地上だとそれらが残りにくいです。そのため地中にある化石を探します。そしてその地面である地層ができるのは河川や海、湖などの水中。そのため、水辺で化石が見つかることが多いのです。

採集:鉱物編

鉱物の採取場所は主に鉱山や河原に。今回は鉱山での鉱物採集について。私が実際に行った茂倉沢鉱山の紹介をします。

場所

群馬県桐生市菱町上菱

主に取れるもの

茂倉沢鉱山はマンガン鉱床にあるため、マンガン系の鉱物が多く取れます。また、バナジウムを含む鉱物も多くとれます。長島石と鈴木石の原産地でもあります。マンガン鉱物はパッと見は黒いのでそれを目安に探すのが良いです。
具体的に取れる鉱物は
硫黄・砒四面銅鉱・安四面銅鉱・閃マンガン鉱・斑銅鉱・黄鉄鉱・硫黄鉄鉱・ヘルビン・キュムリ石・ハウスマン鉱・緑マンガン鉱・パイロクロアイト・園石・菱マンガン鉱・孔雀石・重晶石・マンガン方解石・バラ輝石・鈴木石・長島石・ロスコー雲母・ウィゼル石・テフロ石・ヤコブス鉱・アレガニー石・満ばん柘榴石

画像①:鈴木石 緑色の部分。周囲はバラ輝石
画像②:長島石 濃緑色の部分。周囲はバラ輝石

採集:化石編

化石の採集場所は主に河原や海辺など。
今回は多摩川で取れる化石について紹介していきます。

主に取れるもの

アカニシ・カガミガイ・アカガイ・ホタテ・カニの化石(レア)・サメの歯(レア)・生痕化石・葉っぱの化石

場所によりますが、地学部がよく行く場所ではアカニシという巻き貝が多く取れます。これは比較的最近のもので、まだ貝殻もしっかりとしており、ちょっとやそっとの衝撃じゃ欠けたりしません。
カガミガイやアカガイは二枚貝の化石です。アカガイは大きいものもあります。
生痕化石とは大昔のカニや貝などの巣の痕など、生活の痕が化石になったものです。恐竜の足跡の化石も生痕化石に含まれます。地上にあったカニや貝の巣に地面とは別の土砂が流れ込み、その痕が残ったものです。

生痕化石
葉っぱの化石

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