お鷹の道・真姿の池湧水群での水質調査
下河邊太智(高1)
1.はじめに
国分寺市にあるお鷹の道・真姿の池湧水群は,国分寺崖線上に位置する典型的な崖線型の湧水であり、昭和の名水百選にも選定されている、東京都を代表する湧水です。真姿の池の湧水の仕組みを示したのが図1です。
今回主に観測を行った元町用水は、真姿の池や万葉植物園から湧き出た湧水を集めて崖線の南側に沿って国分寺市内を東に流れ、野川に流れ込んでいます。お鷹の道は、この元町用水の上流部沿いに整備された歩道のことです。なお、この野川も湧水を起源としており、国分寺崖線沿いに点在している姿見の池や日立中央研究所内の湧水などを集めています。
今回は、通常の水文巡検で行うような点的な水質観測でなく、元町用水内の多くの地点で連続的に観測を行うことで、湧水の水質がどう保存されて水が流れるのかといったことを明らかにすることを目的とします。また、これを調べることにより、普段の水文巡検において、水質観測の結果をより正しく捉えることにもつながると思います。
2.方法
水質観測を行った地点を図2に示します。元町用水の5地点で、それぞれpH、EC(電気伝導度、高いほど電気を通しやすいことを表す)を計測しました。
3.結果
水質観測の結果を下図に示します。
観測地点 | ⑤ | ||||
pH | 6.37 | 7.43 | 6.89 | 7.33 | 7.44 |
EC(mS/cm) | 18.71 | 18.84 | 18.61 | 17.96 | 18.49 |
4.考察
まずpHは、表のように概ね下流に行くほど高くなる傾向が観測されました。これは、RpH(採水した水を十分に空気に触れさせた後に測るpHのこと)がpHよりも高くなるのと同じように、地下水に溶存していたCO2が抜けたためだと考えられます。また同様に考えると、万葉植物園付近(②)でのpHが真姿の池付近(①)と比べ高かったですが、これは②では湧出地点を直接見ることはできず万葉植物園の敷地内から流れてきた水を採水しており、湧出地点から②の観測地点までに十分距離がありCO2が抜けたためにpHが高くなっていたと考えられます。巡検先の地点でpHを観測する際には、湧出地点からの距離を踏まえて観測結果を考える必要があるということが分かりました。
次に、EC(電気伝導度)について考察します。表のように顕著な大きな変化はなく18 mS/cm前後です。pHとは異なりECは湧出後も大きく変動しないことが分かりました。
5.今後の課題
そもそもこの研究にはあまり発展性はない気がするものの、発展させることができるかもしれない点について考えてみると、今回の観測では手間がかかるためRpHの観測は行わなかったのですが、同様にRpHも同じ水路の複数の地点で観測するとCO2以外の成分に関しても分かることがあるかもしれません。また、同じ湧水群の複数の湧水地点で観測を行えば、興味深い結果が得られるかもしれません。
参考文献
- 地下水学会誌第32巻第3号 1990年 「名水を訪ねて お鷹の道・真姿の池湧水群」
化石から多摩川の昔の陸と海の境界線を調べる
高橋壮太(高1)
1.はじめに
多摩川では貝やカニ、クジラなどの海の生物の化石と、ゾウや植物などの陸の生物の化石も採れることがあります。これらは多摩川が大昔には陸と海の境界であったことが原因です。今回はその境界がどこなのか、化石の採取地をもとに考えていこうと思います。
2.方法
多摩川の河川敷で採取した化石の位置を地図上にプロットし、陸上生物の化石と水棲生物の化石の分布境界から、陸と海の境界の大まかな位置を判断します。
3.結果
図1の①~④の点が化石採取場所を示したものです。※がついた採取地は筆者が実際に行った場所です。
採取地①※:アカニシ・カガミガイ・アカガイ
アカニシは巻貝、カガミガイとアカガイは二枚貝の化石です。約15万年前に生息していたとされます。
採取地②:アキシマクジラ
アキシマクジラは160万年前に生息していたとされるクジラで、全長は13.5mです。
採取地③※:植物化石
植物の葉の化石です。葉脈の形から双子葉類だと推定できますが、具体的な種の特定はできていません。
採取地④:アケボノゾウ足跡化石
アケボノゾウは約250万年~70万年前までに日本に生息していたゾウの一種です。日本でのみ化石が見つかっています。そのため、日本固有のゾウと考えられています。高さは約2mです。
アキシマクジラの模型
4.考察
結果からわかることは、陸と海の境界線は図1の紫の線上付近だと考えられます。
5.今後の課題
まず参考にした採取地が少ないことが挙げられるので、実際に行く場所を増やしたり、外部で参考できる情報をさらに探したりする必要があります。
次に陸上生物の化石が河川などによって運ばれてきたことを考慮していなかったことが挙げられます。これについても、さらに調べる必要があります。
参考文献
- 国土地理院地図 https://maps.gsi.go.jp/#14/35.695330/139.367666/ &base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m 0f1
- 昭島市ホームページ https://www.city.akishima.lg.jp/