130th 海城祭

ミネラルウォーター類の飲み比べ実験

野中智彰(中2) 

1.はじめに

スーパーマーケットに行けば,たくさんの種類のミネラルウォーター類(容器入り飲料水、以下、水と表記)を目にすることができます。これらの水を前にして、筆者は「どれも同じ水なのに、なぜこれほど商品が多いのだろう」と疑問に思いました。筆者自身、水を飲む機会は多いですが、味の違いは意識していませんでした。

一般に、水をおいしく感じるのは、水温が低いこと、異常な味やにおいがしないこと、適度なミネラル分を含むことの3つに当てはまることとされています1)。ミネラル分の含有量については、旧厚生省のおいしい水研究会が硬度10〜100mg/Lなどの基準を示しています1)。しかし、そのような先入観なしに、私たちが水の味をどのように感じるのかを調べてみたいと思い、水の飲み比べ実験を行うことにしました。

2.方法

日頃よく見かける市販の水、旅行先で見つけた地域限定の水、外国産の水などの16種類の水を集めました。表1に評価対象の水を示します。なお、鉱化された地下水を原水としたものがナチュラルミネラルウォーター、これを原水として調整したものがミネラルウォーター、これ以外がボトルドウォーターです2)

同じ温度、同じ湿度の状態で保存したこれらの水を、海城中学高等学校地学部部員11名の味覚に基づいて評価し、

合議により「おいしい(A)」から「おいしくない(D)」まででランク付けをした。

3.結果と分析

ランク付け結果を表1に示す。欧米の水には、A評価がないものの、硬度100mg/Lを超える水にB評価が与えられている。

ランク付けした結果と、名称、種類、および硬度との関係性を調べる。なお、おいしい水研究会の基準に基づき、硬度10〜100mg/Lに絞って分析する。

名称とランク、種類とランクについてクロス集計した結果を、それぞれ表2と表3に示す。また、硬度とランクの関係について、ランク別の硬度の主な統計量を示したものを表4に示す。

表2 名称とランクの関係(硬度10〜100mg/L)

表3 種類とランクの関係(硬度10〜100mg/L)

表4 硬度とランクの関係(硬度10〜100mg/L)

4.考察

欧米の水はカルシウムやマグネシウムの豊富な硬水が多いので、多くの日本人にとって欧米の水は美味しいと感じることが少ないと考えられる。また、硬度10〜100mh/Lの範囲では、名称、種類、硬度のいずれについてもランクとの間に明らかな関係性は確認されなかった。しかし、ナチュラルミネラルウォーターにはAおよびB評価があるが他はC評価以下であったり、鉱水にはA評価があるが他はB評価以下であったりするなど、高評価が得られるには事前条件がある可能性が示唆された。

5.今後の課題

今後は、人間の感覚だけでは計れない、水の中に含まれている成分やその水の酸性度などの数値とその水の味との関係性について検討していきたい。また、今回飲み比べした水はほんの一部に過ぎないので、さらに豊富な種類の水で比較したい。

参考文献

1) 福岡県南広域水道企業団ホームページ, https://www.sfwater.or.jp/jyouhoukoukai/anzen/oishii2.html (2021.4.1参照)

2) 農林水産省,ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン(1990)