この記事は2022年海城祭・ミニオープンキャンパスで配布した部誌に掲載したものを一部修正したものとなっています。部誌PDFはこちら
はじめに
江ノ島は、よく江ノ島水族館や、干潮の時に島までの道ができることなどで耳にすると思います。そんな江ノ島、実は地学的にもとっても良いところなんです。今回は、今年の3月25日に行った、江ノ島での地質巡検について話します。
もちろん、地質的な意味を理解してもらうことも嬉しいですが、それ以上に海城地学部名物の野外巡検の雰囲気を感じて欲しいです。
関東ローム層
早速江ノ島に到着し島の中心を目指し頂上を目指した我々地学部は、雄大な景色を横目に、露出した岩肌に注目していました。
実は、江ノ島にも“空気中の酸素により含まれている鉄分が酸化し赤茶色になった火山灰の地層”俗に言う関東ローム層の一部が存在します。江の島に見られる武蔵野ローム層は主に富士山と箱根火山の噴火によるものです。
また、ローム層中にまわりより明るい色の目立った層がはさまれていることがあります。これは軽石が多く含まれた火山灰の噴火によるもので、軽石層と呼ばれます。さらに離れた場所にあっても同じ軽石層と認められれば同じ時代であることがわかり、江の島ではその中でも有名な東京軽石層が観察できます。
海岸地形
では続いて、江ノ島の地形と聞けば、一番最初に思い浮かぶであろう、波や潮の流れで作られた地形について述べていきます。
まずは最初に陸繋砂洲。江ノ島は、元々は陸と完全に離れた島でした。しかし、図のように長い年月をかけて潮の流れで砂が流され、堆積していき、最終的に陸と繋がったのです。これを、陸繋砂洲(トンボロ)と呼びます。島と陸が自然の力で繋がるなんて、なんだかすごいですね。
次に紹介するのは、海食棚。海岸線に沿って平らな岩が続いています。この地形は、岩が波によって長い年月をかけて平らに削られたものが、江ノ島の隆起によって地上に段々のように現れたものです。すぐ近くには稚児ヶ淵という鎌倉相承院の稚児・白菊が投身した伝説の残る場所もあります。
次に紹介するのは、海食洞!その昔、江ノ島の海岸沿いのあたりが海に沈んでいた時に、波によって崖が削られて、削られてひたすら削られて洞窟ができました。
それがこの、岩屋と呼ばれる海食洞です。奥行が約152mある第1岩屋と同56mの第2岩屋とがあります。なんと、あの弘法大師や日蓮上人も修行したという江の島信仰発祥の地でもあります。
そして最後に紹介するのは、海食崖。海岸といえばこれを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。そう、そびえたった崖です!こちらも、ひたすら波の力によって削られて、こんなに高い崖が江ノ島の南部一帯に並ぶようになりました。
最後に
いかがだったでしょうか。地学部ではこんなふうに、様々な地学的特徴を持った場所を訪ね、肌で感じる活動を行っております。野外活動でしか味わえない楽しさもロマンも、全てが詰まった巡検の魅力が、少しでも伝われば幸いです。
参考文献一覧
[1] 武蔵野ローム層―江ノ島の自然―みゆネットふじさわ https://www.fujisawamiyu.
net/enoshima/nature/f03_016.html 8/14 閲覧
[2] 旅の情報〜地理の世界から〜https://chiri-tabi.com/chikei/shikennnideru.html 8/15 閲覧
[3] 江ノ島の地形誕生の起源に迫る!〜隆起や海流が生んだダイナミックな地形
〜 https://www.mapple.net/articles/bk/470/ 8/15 閲覧