2023年春休みに富士山周辺で合宿を行いました。
今回の合宿は1泊2日という短い期間でしたが、2019年12月以来およそ3年ぶりの合宿となりました。その合宿の様子を簡単に紹介していきます。
3月31日(金)の朝7:30に二子玉川駅に集合。東名高速東京ICに近いからという理由で二子玉川集合にしました。
駅から少し歩いたところからバスに乗ります。
さて、今回の巡検ではバスの中で、部員が次に行く場所の解説を行うことにしています。大涌谷の前では箱根火山についてや黒玉子について解説していました。
というわけで箱根の大涌谷に到着です。今回の合宿では元々富士山の宝永噴火口に行こうと思っていたのですが、冬季通行規制で行けなかったため、代わりに火山活動の様子がわかるように訪れた場所です。
まず箱根ジオミュージアムでは箱根の火山や温泉について地学的視点から解説していることによって、箱根がどんな場所かをしっかり学ぶことができます。
箱根ジオミュージアムHP:http://www.hakone-geomuseum.jp/
こちらが大涌谷。
また、箱根といえば温泉、ということで…….
次に行ったのは景が島渓谷です。富士山から流れ出た溶岩流が固まってできた玄武岩が川に侵食されてできた奇景を見られることができ、川の力の強大さを実感することができました。
その後屏風岩(柱状節理)を見ました。柱状節理は溶岩の中心部が時間をかけて冷却・収縮し、垂直に割れ目が入ったもの。ここでは高さ10M、幅70Mの六角形の柱状節理が見られます。
屏風岩の写真を事前に見たときは「本当にこの柱状節理六角形がほとんどなのかな、四角形に見えるけど…」と思っていたのですが、
近くでみたら、担当者が解説してくれていたように六角形でした。実際に行ってみることの重要性がわかりますね。
ここまでの行程に遅延が生じていたので、昼食を食べたらすぐ出発になってしまいましたが、柱状節理をじっくり観察することができました。
次に行ったのは御胎内清宏園です。溶岩隧道「御胎内」があり、これは溶岩樹型が組み合わさってできた隧道となっていて、隧道の形から安産祈願ができる場所となっています。中にはどんな溶岩が見られるかの説明もありました。
実際に入っていきましょう。
中はこんな感じ。
体力・暗さ的に溶岩の形を見るほどの余裕はあまりなかったかもしれませんが、実際に隧道を必死に通ることによって、溶岩樹型の狭さを実感することができました。玄武岩の溶岩もいっぱい触れましたしね。
どうでもいい話ですが、東名高速の渋滞の影響で屏風岩を出発した段階で30分ほど行程から遅れていましたが、屏風岩から御胎内までの所要時間を(本来は30分のところ)1時間だと勘違いしていたため御胎内からは行程通り移動できました。
次に行ったのは水ヶ塚公園。静岡側から五合目に伸びる道が分岐する場所の近くにあり、その道は冬季規制中だったので、富士山を眺められるできるだけ高いところ、というところで寄りました。
水が塚公園には電子基準点と呼ばれるものもあります。
ちなみに公園にはスコリアがいっぱい落ちていました。
水が塚公園から2時間ほど車で移動し、今回お世話になる、ヘルシー美里という宿に到着です。
夕食後はミーティングを行い、合宿後に書くレポートのテーマ決め、今日の振り返りなどを行いました。
その後は星空観察です。普段の日帰り巡検ではできないことですので、これを心待ちにしている部員も多かったです。昼間は曇っていましたが、夜は雲1つ無い天気で星空を観察・写真撮影ができました。部員がとった星空写真をいくつか。
月が明るすぎるので10時ごろには撤収し、翌朝4時ごろに再チャレンジすることに。すると……
段々夜空が明るくなってきました。
そして朝焼け・日の出を見ようと、朝の星空観察をしなかった生徒も来ましたが……
山がすぐ近くにあるので日の出はみられず、ただ明るくなっていくだけでした。残念。でも関東平野では絶対にできない経験ですね。
ちなみにこの宿はもともと他の学校の天文部が合宿をした、と聞いて泊まることにしたのですが、本当に綺麗な星が見られました。また宿の方がライトアップを消してくださったので更に見やすくなりました。本当にありがとうございます。
ヘルシー美里HP:http://www.hayakawa-eco.com/misato/
さて初日は静岡県を中心に回っていきましたが、2日目は富士山の山梨側を回っていきます。
まずは新倉の糸魚川-静岡構造線の見学です。糸静線は糸魚川と静岡を繋ぐ断層で、途中ヘルシー美里のあたりを通ります。その露頭が近くにあったので見学しました。
実際の露頭がこちら。
ちなみに新倉の糸静線露頭周辺はリニア新幹線の工事の車がよく通るそうなので、訪問される際にはご注意ください。ちなみに地学部が訪問した時は宿の方が工事の方に相談してくださり、車を少しの間止めてくださいました。本当に感謝です。
次に訪れたのは甲斐黄金村・湯之奥金山博物館。合宿担当者が小6の時に行って楽しかった、という理由で行程にいれた場所です。
博物館では、昔の金山で働いていた人たちの暮らしに関する展示がメイン、と思っていましたが、全国の砂金を集めた砂金地図があり、部員の多くがくぎ付けに。他にもさまざまな展示があり、学芸員さんの説明もあったため、楽しめました。
そしてここに来たメインの目的はこちら。
なんと、金山の砂を用いた砂金取り体験ができます。
1回30分で、パンニング(専用の皿に砂を入れ、水の中で砂から砂金を見つけ出す)を用いた体験です。初心者は5粒取れたらすごい、という感じだそうですが、地学部員は5人ほど5粒とれ、6粒取れた人が2人いました。
ちなみに地学部顧問の先生は「写真撮っている暇はない!」ということで頑張った結果、7粒取っていらっしゃいました。流石、多摩川で1日中砂金取りをしたことがある人は違いますね。
ところでこの博物館では毎年砂金取りの大会が実施されていて、海城も10年くらい前に化学部が参加したことがあるそう。地学部も参加を検討してみてもいいかもですね。
砂金取り体験の後は学芸員の皆様が用意してくださった椎茸のお茶を飲んでいると(とてもおいしかったです)、中から博物館のマスコット、もーん父さんが来てくださいました。
もーん父さんのTwitterでも地学部に関する投稿をしてくださいました。本当にありがとうございます。
湯の奥金山博物館HP:https://www.town.minobu.lg.jp/kinzan/
次に訪れたのは本栖湖。実は初日、宿へ向かう時にも通ったのですが、2日目はしっかり湖畔に降りてみます。ちなみに本栖湖は『ゆるキャン△』第1話の舞台だそうで、一部のゆるキャン△好き部員が盛り上がっていました。
さて、そんな山梨県もといキャンプ県にある本栖湖、地学的観点で言うと昔あった巨大な湖が864年の青木ヶ原樹海のあたりに流れた富士山の溶岩によって、本栖湖・西湖・精進湖の3つに分けられた、という歴史があります。そのため、スコリア層を通じてそれらの湖と地下水が行き来していると考えられているそう。
そんな青木ヶ原溶岩流の末端部分に行ってみました。
その後、本栖湖畔のレストラン、湖仙荘でほうとう鍋を頂き(とてもおいしかったです)、鳴沢氷穴に移動しました。
鳴沢氷穴は富士山の溶岩流(御胎内をつくったものと同じ時期の溶岩流です)の溶岩洞窟で、中が冷たく、氷柱ができていることでも知られています。
どうして洞穴内が冷たいかというと、外の空気が洞穴の中に入るとき収縮して熱を持つも、その熱が周辺の溶岩に取られ、その空気が広い洞穴内で膨張することで冷えるそう。
他のお客さんが多く、じっくり見ることはできませんでしたが、山梨の有名な溶岩流関係の観光地に行くことができて良かったです。
鳴沢氷穴HP:https://www.mtfuji-cave.com/contents/ice_cave/
最後に訪ねたのは忍野八海。忍野八海は富士山の雪解け水が湧き出す湧水が見られる場所で観光地になっています。ちなみに地学部が観光地化された湧き水に行くことは珍しいです。
榛の木林資料館HP:http://hannoki.com/museum.html
この後は自由行動になり、各自他の池を観察したり、お土産をみたりしました。
菖蒲池は全体像を撮り忘れました。すみません。ちなみに出口池は時間の関係からカットしました。
その後はバスに乗り込んで、中央道を渋滞の中移動し、八王子駅で解散しました。
3年ぶりの合宿でしたが、無事に終わることができ、楽しめたのでよかったです。
2023.4.25 編集途中だった新倉の糸静線の写真を追加・一部付け足し