この記事は2022年海城祭・ミニオープンキャンパスで配布した部誌に掲載したものを一部修正したものとなっています。部誌PDFはこちら
はじめに
神奈川県の三浦半島先にある城ヶ島にはめちゃくちゃ多くの地学的構造が見られ、毎年多くの観光客が訪れます(ぶっちゃけ、みさきまぐろきっぷがメイン)。
その中で地学的構造・スポットをいくつかピックアップして紹介していきたいと思います。観光地などにただ行くのと、事前知識アリで行くのとでは天と地、月とスッポンほどの差があるので読み終わった暁にはぜひ城ヶ島に行ってみてください!
三崎層と火炎構造
島の南西部、波が打ちつけるこの場所には特徴的な白と黒の縞模様の地層と、まるで炎のような特徴的な模様が見られます。
この白黒模様は通称三崎層(正式名称:三崎砂礫泥岩互層)といい、2種類の堆積物が交互に重なり合うことでできます。白色のものは泥からなるシルト岩、黒色のものはスコリア質砂礫岩という岩石からできています。
この辺りでは至る所に断層が見られますが、そのほとんどは逆断層です。しかし、なぜ逆断層が多いのでしょうか。城ヶ島は場所的にフィリピン海プレートが沈み込む場所であり、沈み込むということは結果的に左右から押される形となるので、左右から押されてできる逆断層が多くなるという訳です。
写真を見ればわかるように、火炎構造は名前の如く火炎のようにゆらめいている模様が観察できます。どうしてこの模様ができたかというと、凝灰岩(火山灰)が積もってまもない、まだ固まりきっていない頃、上から重い砂が積もった時に、その重さで泥が巻き上がり砂の中に入り込んだからです。
馬の背洞門(海食洞)
城ヶ島といえばコレ!城ヶ島で1番のスポットと言っても過言でないこの海食洞は、海食洞という名が指す通り海の波(や風雨)に侵食されて形成されたもので、長い年月をかけて今の形となりました。1923年の関東大震災により土地が隆起し、今の穴の空いた姿が見られるようになりました。(地震以前は小舟なども通っていたそうです)
下の写真はこの洞門の足元のものですが、黄色い斑点があるのがわかると思います。これは偽礫といい、堆積した泥が地滑りによりちぎれて礫のような形になったものです。礫のような形をしているものの、その正体は泥なので「偽(の)礫」という名前がついています。
スランプ褶曲
下の写真を見ると、地層の中にある黒い線が大きくうねっているのが見られます。これはスランプ褶曲というのですが、普通の褶曲とは少しでき方が違います。通常の褶曲は地層全体が固まった後に押されてでき、比較的緩やかに曲がっているのに対し、スランプ褶曲は固まっている途中に地滑りなどで力が加わった結果極端に曲がった形でできています。固まっている途中に曲がったため、上下の層は通常の褶曲と違って曲がっていないのが確認できます。
参考文献等一覧
[1] http://www.waseda.jp/prj-edu-earthsci/geop/Miurageosites2013f.
pd 7 月24 日閲覧。
[2] http://www.city.miura.kanagawa.jp/kyouiku/documents/02_chiso_p_136-p_155.pdf
[3] https://enjoymiura.net/?p=2309