自作電波望遠鏡を利用した太陽フレアの観測-2022部誌

この記事は2022年海城祭・ミニオープンキャンパスで配布した部誌に掲載したものを一部修正したものとなっています。部誌PDFはこちら

※小学生でもわかるように単語に説明を入れています。ちょっと内容が難しいですが、ぜひ読んでみてください。

はじめに

本研究を始めようとした目的は、2021 年度に天文班で新たに製作した自作電波望遠鏡(図 1)を用いて太陽の活動を観測したいと思ったからです。2021 年 10 月 29〜31 日に発生した太陽フレアは太陽活動の観測に適していると思い、太陽電波の増減を調べることで太陽の活動の変化を記録できるのではないかと考えました。

電波望遠鏡とは?

ほとんどの方が電波望遠鏡という単語を聞くのが初めてではないかと思いますので、簡単に電波望遠鏡とは何か解説しておきましょう。普段私たちが目にする望遠鏡は細長い形をしていますね。筒の中にはレンズが入っていて、星からの光を屈折(折れ曲がること)させて目に届けています。しかし、電波望遠鏡はレンズを全く使っていません。では、どのように星を観測しているのでしょうか。電波望遠鏡はパラボラアンテナというものを用いて星から届く電波の観測をしています。人の目では電波を観測できないので、レンズは不要なのです。

では、なぜパラボラアンテナを用いているのでしょうか。図 1 のように、電波望遠鏡はお椀型をしています。この形は、電波を中心に集めるのに最も適した形なのです。

2021 年 10 月 30 日の太陽フレアについて

次に、今回観測した太陽フレアについて説明していきます。NHK のニュース(1)によると、29 日未明、「太陽フレア」と呼ばれる太陽表面での爆発現象の中でも最大クラスに分類される、巨大な爆発が発生した。と報道されており、今回の太陽フレアによって太陽における電波量が増大するのではないかと考え、自作電波望遠鏡を用いて観測してみようと考えました。

観測機器について

観測機器(図 1)には、BS アンテナ、BS ブースター、分波器、電源装置、自作検波器を用いました。BS アンテナは市販されている衛星放送受信用のものを利用しました。また、図 2 にあるように、自作の検波器を作成しました。以下は、観測機器についての簡単な説明です。1,太陽の方向に向けた BS アンテナで太陽の電波を受信します。2,受信した得られた信号はとても弱いので、BS ブースターで増幅させます。3,自作検波器で高周波の信号を直流に整流します。この電圧を測ることで太陽の電波を観測することができるのです。今回の観測では、電圧の増減を観察することによって、太陽の活動の変化を観測しました。

観測結果、考察

2021 年 10/22,10/30 にテスターで計測した電圧の値を 9:15 から約 15分間隔で記録しました。以前の観測で電圧の増減を観察することによって、太陽電波の変化を観察できることがわかっています。

結果は図 3 のようになりました。このグラフから、両日ともに電圧は12:00 に向けて高くなり、12:00 頃に最も数値が高く、時間が立つにつれて数値が減少することがわかると思います。
グラフの点線は、一週間前の 10 月 22 日に太陽電波を観測した際のテスターの電圧の値です。実線は 10/30 に観測したものであり、全体的に数値が上昇していることがわかります。両日共に天気は晴れであったが、数値に違いが生じました。これは太陽フレアによって太陽の活動が活発になり、太陽から放出される電波が増加したことが原因であると考えられます。

※以上で終わりとなります。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

参考文献一覧

[1] 「NHK ニュース『太陽フレア』30 日以降数日 通信衛星や GPS などに影響のおそれ」最終閲覧日 2022/07/24
[2] 電波の宇宙」前田耕一郎 コロナ社 新コロナシリーズ 2002 年 4 月発行
[3] https://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/almar/data/almar04.pdf アルマーの冒険 04 国立天文台発行 最終閲覧日 2022/01/24

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