地磁気の逆転について-2022部誌

この記事は2022年海城祭・ミニオープンキャンパスで配布した部誌に掲載したものを一部修正したものとなっています。部誌PDFはこちら

地磁気とは

一昨年である 2020 年に話題となった「チバニアン」という地質年代をご存知でしょうか。日本の地名に由来した名前が地質年代として付けられることは初めてだったため、結構テレビなどでも長期間にわたって放送しており、知名度はあると思いますが、チバニアンが地質年代として正式に決定された理由を知っていますか。

それは、一番新しい地磁気逆転の記録が世界で最もよく保存されていたためです。地磁気とは地球が巨大な磁石であり、それによって生じる磁場のことです。わかりやすく例を挙げるとすると、方位磁石の N 極は常に北を向いていることから北極側には S 極、反対の南極側には N 極があることがわかり、地球が一つの巨大な磁石であることがわかると思います。地磁気は、地球の大気や水の宇宙への放出を防ぎ、主に太陽から地球に振り注ぐ放射線や紫外線を減らす役割があり、地球の生命としてとても重要で不可欠な現象です。

地磁気の逆転

地磁気の逆転が発生する理由はいまだに解明されていませんが、過去の地磁気は残留磁気として岩石に記録されており、大昔の地磁気の方向がわかっています。残留磁気は熱残留磁気と堆積残留磁気の二種類に分けることができます。
熱残留磁気とは岩石に含まれる磁鉄鉱が持っている性質によって地磁気の方向が記録されることです。磁鉄鉱には磁場の中で磁石になる性質があり、溶岩が溶けるおよそ 1000°ではこの性質がなくなりますが、溶岩が冷えて火成岩になるような温度になると溶岩が溶けていた時期の地磁気の方向が岩石に記録されるという仕組みです。
もう一つの堆積残留磁気は磁鉄鉱の粒のように極めて小さな磁石が水中で堆積する場合に水が少しずつ減っていくと、その時の地磁気の方向を向くようになり、その後地磁気の方向が変わっても磁鉄鉱の向きは変わらずに記録されるという仕組みです。

先ほども述べた通り、地磁気は逆転を繰り返しておりその感覚は平均 20〜30万年とされていますが、規則的ではなく上の図のようにブリュンヌ期と呼ばれる 80 万年にわたって地磁気が変化しない年代や、コブ山やレユニオンなど数百年、数千年で変化してしまう年代など様々です。右の図には載っていませんが、白亜紀にはスーパークロンと呼ばれる数千万年にわたって地磁気が変化しなかった年代もあります。

地磁気の逆転の危険性

最後に地磁気の逆転が発生したのは今から約 80 万年前とされており、スーパークロンを例外とすると、平均20〜30 万年で地磁気の逆転は起きているため、いつ地磁気の逆転が起きてもおかしくはないと思います。実際にここ数十年の間地球の磁力は 10 年で5%の割合で弱まっていることが判明し、地磁気の逆転が近づいている可能性を示唆しているとも考えられています。本当に地磁気の逆転が起こってしまった場合、太陽からの大量の放射線や紫外線が遮られることなく地表面に降り注ぐため、人間を含む地球上のあらゆる生命が極めて危険な状態にさらされることになります。しかし、地磁気が逆転する理由などがわかっていないなど、この分野についてはあまり研究が進んでいないため、地磁気の逆転が起こったとしても人間が存続可能な気候になるかどうかは、ほとんどわかっていません。

参考文献一覧

[1] https://forbesjapan.com/articles/detail/20001 8 月 3 日閲覧。
[2] https://webronza.asahi.com/science/articles/2020012100003.html 8 月3日閲覧。
[3] https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/sensors/sensor_what2 8 月3日閲覧。
[4] https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/bunkazai/chibanian/index.html 8 月3日閲覧。
[5] https://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/mg_bg.html 8 月3日閲覧。
[6] https://www.gsi.go.jp/buturisokuchi/menu01_index.html 8 月3日閲覧。

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